秋といえば食欲の秋。
ここで「スポーツの秋」とか「読書の秋」と答えてしまう人はきっとひねくれ者だと勝手に思ってる。
高知の秋の味覚といえば、とりあえずは戻りガツオ。
9月〜10月、皮目にたっぷり脂を蓄えたカツオは本当に最高。
でもカツオだけじゃないのが高知。
こないだの休み、うちの奥さんは丸一日お出かけだったので、娘と一緒に美味しいものを食べに行ってきた。
高知の秘境・安居渓谷へ
向かったのは海ではなく山。
それもなかなかの山奥だ。
安居(やすい)渓谷は、近頃の「仁淀ブルー」ブームのメッカと言っても良い場所。
条件が整えばものすごい絶景が迎えてくれる。
安居渓谷は高知市内から車で約1時間半。
僕の住んでいる土佐市からもそんなに変わらない。
そんな秘境ではあるけれど、なかなかの人気スポットになりつつある。
でもでも、この食堂はまだあんまり知られていないようだ。
こんなところに食堂が
安居渓谷は昼間に来るのがおすすめだ。
なぜなら、光が入る時間帯の方がいわゆる仁淀ブルーがよりはっきりと見ることができるから。
となると必然的に渓谷内でお昼ご飯を食べることになる。
幸いにも安居渓谷は特に飲食禁止の場所ではないので、例えば須崎のショップたけざきの玉子焼きを買ってきたとしても、ゴミさえ捨てなければ美味しく食べることができる。
でも、せっかく来たなら安居渓谷内のお店で食べたいところ。
安居渓谷内でランチが食べられる場所のひとつは、渓谷内唯一の宿「宝来荘」。
ここのお昼も悪くない。
決して悪くないのだけれど、もし秋に行こうという人がいれば、めちゃくちゃおすすめのお店がある。
それが大関だ。
安居渓谷の見どころのひとつ見返りの滝を見た後で車を走らせていると、左手に見えてくる。
このお店、食堂というより小屋と言ったほうがしっくりくる外観をしている。
なんでも、台風なんかで壊れるたびに店を閉めようと思ったけれど、ファンの方がお金を出してくれたり木材をくれたり補修をしてくれたりでこんな外観になったそうだ。
ご夫婦で営む食堂なので、あまり大勢の対応はできないため席数も限られている。
天気の良い祝日の12時過ぎという超昼時だったけれど、なんとお客さんは2組のみ。
これはラッキー。ゆっくりさせてもらおう。
そう、ここはゆっくりするところだ。
すぐ目の前には日本一の水質の仁淀川と美しい蓬莱山の自然林が広がる本当に素晴らしい環境で美味しい空気を吸いながら、贅沢な時間を過ごすのが醍醐味だと思う。
注文をしてから出てくるのに少々時間がかかったとしてもイライラすることなかれ。
ある程度並ぶかもと考えていたので、ちょっとびっくり。
やっぱり紅葉の便りが届くと一斉に来るんだろうか。
大関で何を食べる?
さて、大関に来て絶対に食べておきたいメニューをふたつご紹介。
ひとつはツガニ汁。
奇跡の清流という呼び名で売り出し中の仁淀川でとれたツガニ(モクズガニ)を汁にしたもの。
お店の裏に水槽があって、裏山から流れてくる清水で飼うことで臭みを抜いてる。
ちなみに、このツガニって上海蟹とも近い種類だそうな。
秋になると仁淀川の近くのいろんな食堂でツガニ汁を食べられるのだけれど、このお店のものは別格だと思う。
仕入れにもかなりこだわっているらしい。
そして、他ではなかなか食べられないのがアメゴのにぎり。
アメゴっていうのはアマゴのこと。
川魚の中ではかなりよく食べられている種類だし、実際仁淀川沿いでも塩焼きを出している店はよくある。
ただ、生のアメゴをにぎりで食べられるお店はほぼ無い。
今日はこの2品に加えて、ツガニご飯とアメゴの塩焼きを頼んだ。
先に食べていた2組は早々にお会計を済ませてしまって、なんと貸切状態。
めちゃくちゃ贅沢じゃないすか。
お座敷に上がらせてもらったら、娘のテンションが変に上がってしまって、踊り出したり熱いお茶を飲もうとしたりちょっと大変だった。
そうこうしているうちに、まずは塩焼きが運ばれてきた。
アメゴのにぎりを娘にも食べさせてやりたいのは山々なんだけど、まだ生魚を食べさせてないので娘には塩焼きを。
魚の塩焼きに目がない娘がかぶりつきそうだったので、静止してほぐしてあげる。
そしてお待ちかねの残り3品が到着。
バクバクと塩焼きを食べている娘を尻目にまずはにぎりから。
添えられている酢みかん(なんだろ?スダチ?)を絞って、醤油をたらしていただきます。
マスの仲間だけれど、生のサーモンとは全然味も香りも食感も違う。
一切臭みが無いどころかアメゴの香りが鼻の奥を抜けてとても爽やか。
適度なモチモチ感が心地よくって、噛んでいるとほのかな甘みがじんわりと広がっていく感じ。
いやー、旨いわ。
アマゴの刺身は日本各地で食べられてはいるし、僕も他で食べたことはあった。でもここまでの感動は無かったよなー。
ご主人にお話を聞くと、仕入れ先にこだわっているのはもちろん、生後1年のメスしか使わないんだそう。
オスはどうしても臭みが出るし、育ちすぎるとこの爽やかさがなくなるんだとか。
このにぎりを食べにわざわざ京都から毎年食べにくる方もいるとか。
この環境も含め、ここでしか食べられない絶品だった。
ツガニ汁とツガニご飯は娘にも食べさせてあげた。
どっちもとても気に入ったようで、結果的に半分以上が娘の胃に入った。
汁もご飯も潰したカニのエキスを使うから、鮮度が悪かったり生育環境によって臭い個体があればダイレクトに生臭くなってしまう。
ここのツガニ汁やご飯は全く臭く無く、口の中にツガニの旨味が広がって最高に美味しい。
そして、ご飯についてきたこのお漬物が何気に美味しかった。
お店の情報
- お店の名前:大関
- 住所:高知県吾川郡仁淀川町大屋
- 電話番号:0889-34-2508
- 営業期間:10月中旬〜11月下旬(期間中は基本的に無休)
- 営業時間:10:00〜15:00
注意点
◎営業期間は年によってまちまちです。確実に食べたい方は行く予定の日に営業しているか、電話されることをおすすめします。
◎住所はこのあたり一帯の大雑把な住所です。Googleマップなら大関で出てきますが、ナビなら大関の少し奥にあたる宝来荘を入れるのが無難ですね。
◎11月の土日祝は安居渓谷内がびっくりするほど混み合います。ダメとは言いませんが、時間と心に余裕をもって行きましょう。
そういえばこのお店、メニューの値段が書かれてないんですが、今回食べた4品で2600円でした。
これ、内容を考えたらめちゃくちゃ安いな。
今シーズン中にもう1回は行きたい。。